今できることに最善をつくす

 震災から7ヶ月。ここ会津若松地震による建物被害は小さかったものの、原発事故による放射能への不安を抱えながらの日々を余儀なくされています。原発から約100km離れており、日々計測されている放射能測定値は比較的低く安全な範囲であると言われてはいるものの、未来ある幼子をお預かりする場として、震災以後、ある種の緊張感から開放された日はありません。
 砂遊びは当面お休みすること。園庭で裸足にならないこと。雨が降っていたり風が強い日には外にでないこと。園庭の畑の作物や果物は食べないこと。・・・これらのことを決断しなければならないのは、本当につらく、子どもたちに申し訳ない気持ちで一杯です。私たち幼稚園も、雨樋の下など線量が高くなりがちなところの土砂を除去する、高圧洗浄機による外壁の洗浄をする、室内の掃除をまめに行う、子どもたちが外から帰ってきたら手洗い・うがいを徹底させるなど対処してきました。私自身、先の見えない状況、いつまでたっても収束しない原発事故に、どうして私たちがこのような目に合わなければならないのかと、考えても仕方の無いことばかりが頭の中で繰り返されるようになっていました。


 そんなとき、「先生!出来ることを出来る限りやっていきましょう!私たちも行動を起こします!」と保護者の方が言ってくださいました。放射能が溜まりやすいと言われている雑草地や落ち葉の集まるところの清掃をしてくださるというのです。これまでは、決して安全が約束されている作業ではないので、幼稚園側でやっていこうと考えていました。ですが、保護者の方の子どもを守りたいという思いに感動し、甘えさせていただくことにしました。毎日お迎えの30分前を利用して、出来る方が出来るときにご奉仕くださるということ。今日が初日でしたが、お父さんも含めて10人程度の方が集まってくださり、集めた枯葉や蔦などが10袋ものゴミ袋に収まりました。こうして欲しい、ああして欲しいと他者に要求するのではなく、自分たちに出来ることを考え実行されるということ(もちろん幼稚園にもきちんと相談してくださったうえで)、本当に頭がさがりました。どうか、ご無理なく、ご負担にならないようにと願っております。


 ともすると後ろ向きになりがちだった自分が恥ずかしくなりました。中通り浜通りでここよりも大変なご苦労をされている幼稚園の仲間たちにも笑われてしまいますね。今出来ることに最善を尽くすこと。一緒にがんばってくれる仲間がこんなにいてくれること。ありがとう!!がんばっぺ聖愛!!


追記:
 二日目の今日。なんと卒園児の保護者の方々が清掃のお手伝いにきてくださいました。午後の外遊びのときに、見慣れた車が続々と駐車場へ。良く見ると卒園児の保護者の方がにこやかに手を振っておられました。
泣きそうでした(涙)。ありがとうございます。