かっこいいな、たのしいお泊り会(はとぐみさん命名)

 年長児はとぐみさんのお泊り保育。毎年そのときのはとぐみさんたちにどんなことをお泊り保育でしたいか相談して、園舎で寝泊まりしておこなってきました。

 さて、今年のお泊り保育は…。子どもたちと相談したときにあがった「お出かけしたい」「探検したい」ということをキーワードに組み立てることに。“探検”という言葉をきいて、実はちょっと心が痛みました。震災以来、放射能という目に見えない恐怖から子どもたちを守ることが幼稚園としてのつとめだと思ってきましたが、それはこれまでこの幼稚園が大切にしていた自然の中で思う存分遊ぶということを妨げることでもありました。土や泥に触れながら、草花や木を遊び道具に時間を忘れて遊びこむ体験。きれいに整備された平坦な固い地面で遊ぶだけではなく、起伏にとんだ自然の中での体験。そういったことに躊躇せざるをえない現実が不憫にも思えていました。

 そんな折、南会津の観光会社の方が夏休みに南会津のペンションで過ごす企画をお持ちくださいました。南会津といえば、原子力発電所の爆発事故以来、当初から放射能の測定値が一貫して低い土地です。平常値ともいえるその数値であれば、震災前のような自然の中での活動ができるはず!そして、今年は仮園舎。あえてこちらで寝泊まりするよりも、高原のペンションで、自然体験を満喫したほうが今のはとぐみさんにとって貴重な体験になるのではないか。

 本当に急な決断でしたが、それをご理解いただき送り出してくださる保護者の皆さまのおかげで、今年は特例として南会津のペンションでのお泊り保育を実現させることができました。


 その中身をご紹介しますと。


一日目
 午前中は仮園舎。毎年お泊り保育の前には妖精や不思議な生き物から手紙が届くのですが、今年は“なんちゃん”と“かいくん”という子どもからお手紙がとどきました。その手紙にはいろいろな指示や問題が書いてあって、それをみんなで協力しながら解決し、次に進んでいくのです。これは、好きなダンスを踊ろうということで「わくわくたいむ」を踊っているところ。
 さまざまな問題をクリアし、最後には昼食の食材をゲット。みんなでサンドイッチとフルーツヨーグルトを食べました。

 南会津へはバスと電車を乗り継いで。“なんちゃん”と“かいくん”にもらった使い捨てカメラを手に出発!一人一個もらったカメラで、自分の好きなときに写真を撮っていきます。

 駅ではペンションのおじさんがお出迎え。すぐにペンションに行くのかな?と思いきや、農園の収穫のお手伝いが待っていました。大自然の中で夏野菜が食べごろでした。

 森探検、スイカ割、お外でバーベキュー(もちろん自分たちで収穫した野菜つき)、ホタル観賞(手にホタルがとまって光る姿に感動!)、花火・・・。あー面白い。お風呂に入っておやすみなさ〜い。バタンキュー。

二日目
 目覚めすっきりなはとぐみさん。お仕度も一人でちゃんとできました。朝ごはんもおいしいね。
 おばちゃんがこねておいてくれたパン生地を好きな形につくってみます。どれも個性的。
 パンを焼いていただいている間にお待ちかねのプール。広ーい!深ーい!だけど浮き輪があるから大丈夫。初めはこわがって先生にしがみついていた子も、すぐにコツをつかんで自由自在に泳いでいました。
 楽しかった一泊二日。つかれて帰りの電車では寝る・・・はずだったのに!終始笑顔ではしゃいでいた子どもたち。
 長かったけど短かったお泊り保育でした。ペンションのおじちゃんおばちゃんもとても優しくて、わが子(?)のように接してくださいました。夏休みが終わったらお礼のお手紙書きたいね。


 保護者の方も遠方でのお泊り保育でご心配になられたことと思います。このような体験にご理解をいただきありがとうございました。きっと一回り大きく成長したお子さんの様子をお感じになられたのではないでしょうか。きっと心細く不安な思いで参加したお泊り保育だったことでしょう。でも、その思いにひるむことなく、挑戦し、楽しみ、仲間たちの存在に心を強くしたお泊り保育から、子どもたちは素敵な何かを得てくれたのではないでしょうか。私たちもこの子どもたちと今回のお泊り保育ができて、ほんとうに楽しかった。ますますみんなのことが愛おしくなりました。


 あ、それから。みんなが撮っていた使い捨てカメラ。夏休みの間に現像しておきますね。どんなものが撮れたのかな…。期待と不安。